旬の「スポーツミックス」を楽しむ、新作スニーカー(前編)

  • 写真:尾鷲陽介
  • 文:小暮昌弘

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モードなカジュアル感を演出するプレミアムなスニーカー。いま欲しいハイブランドの新作をピックアップ。

カラーパレットが特徴的な「グッチ」の新作。

イタリアを代表するブランド「グッチ」の新作スニーカーです。この前に発表されたクルーズコレクションでは、同じデザインで素材をシルクサテンにしたモデルがありましたが、今回は素材がスエードで、しかもマルチカラーのスエードを配したカラーリングに目を奪われます。一足で着こなしの主役になれるスニーカー、と断言できます。アッパーのカラフルなスエードは細かなステッチで縫い合わされ、イタリアの老舗らしい職人芸が薫ります。内側には上質なレザーが使われ、履き心地も極上。白のアウトソールやシューレースのサイドに「GUCCI」のロゴマークが入り、プレミアム感を演出しています。色をこれだけ使っても全体にまとまって見え、シックささえ醸し出すのは、クリエイティブ・ディレクターであるフリーダ・ジャンニーニの卓越したセンスとデザイン力といえるのではないでしょうか。
赤、オレンジ、ネイビーなどのカラースエードを曲線で縫い合わせた職人芸。かかとはかなり深い設計で、フィット感も抜群にいい。
カラーリングは派手だが、スニーカーとしては非常にオーソドックスなデザイン。シューレースを通す穴の一部に「Dリング」と呼ばれるパーツが使われ、締めやすい。

上質さが際立つ、「エルメス」のハイカット

フランスの老舗「エルメス」のスニーカー「JACKSON(ジャクソン)」は、スポーティでありながら、アーバンシックなスタイルが大きな特徴です。ストラップがアクセントになったハイカットモデルですが、つま先にかけての流れるようなフォルムは、靴にもエレガンスを追求するエルメスらしいデザインといえます。素材はしなやかなカーフで、黒一色のカラーリングにシルバーのハトメがアクセント。ソールはエルメスらしい鮮やかなオレンジ色で、よく見るとエルメスのイニシャルである「H」をアレンジしています。シューレースは、履き口にあるタブとストラップベルトで上部が隠れるようにデザインされていて、黒以外にも白のシューレースが付属しています。よりスポーティに装いたいときには、この白のシューレースでアクセントをつけるのもいい方法かもしれません。カジュアルからジャケットスタイルまで使え、シックさが際立つ、老舗の逸品です。
ソールは、エルメスのシンボルカラーともいえるオレンジ色。イニシャルの「H」をグラフィカルにアレンジ。
マジックテープが付いたストラップベルトは、足首をしっかりとホールドしてくれる。履き口は内側にもレザーが使われ、パッド入りで快適な履き心地。

ストリートとモード感をミックスした「ジバンシィ」

5月には東京・表参道に旗艦店がオープンした、日本でも高い人気を誇るフランスの老舗ブランド「ジバンシィ」。メンズとウィメンズの両方のコレクションでクリエイティブ・ディレクターを務めるリカルド・ティッシは、独自のエレガンスとストリート感覚をミックスしたテイストを得意とするデザイナーで、この「TYSON(タイソン)」も、そんな彼のデザインを象徴する靴といえます。白一色のシンプルな配色ですが、アンクル部分のレザーストラップには、ブランドのシグニチャー的モチーフとして頻繁に使われる、スター(星)のスタッズがあしらわれています。スタッズもシルバーの大型で、ひと目で同ブランドのものとわかります。シューレースまわりのパイピングのデザイン処理やヒールのステッチワークなどは非常に凝っており、白一色のベーシックなカラーリングに、確かなデザインセンスとこだわりを秘めた、ハイブランドらしいスニーカーです。
ヒールに入った細かなステッチワーク。未来的なイメージを醸し出すディテール。
ストラップベルトを配したデザインに、ストリートとモードをミックスするリカルド・ティッシのセンスを感じる。

人気の「ピエール アルディ」は、デニムを採用。

1999年に立ち上げた自身のブランド以外にも、エルメス、バレンシアガなど、さまざまなブランドの靴をデザインしてきた才人、ピエール・アルディ。日本でも人気、知名度ともに急上昇中のデザイナー&ブランドといえます。定番的なスニーカーの新作は、アッパーの素材にデニムが採用されていて、藍色のデニムと組み合わされた表革のブラックレザーが上質なモード感をもたらします。ハイカットモデルですが、サイドジッパーが付き、シューレースをしたままでも脱ぎ履きしやすくなっているのも特徴です。内部はボア付きで、デザイン上のポイントにもなっています。アンクル部分には、レザーとデニムがコンビネーションになったストラップが付き、足首を完全にホールド、ストラップのデニム部分に「PIERRE HARDY」のロゴマークが入ります。スポーティさの中に、デザイナーらしいセンスを盛り込んだハイカットモデルです。
サイドのジッパーを下げるとたっぷりのボアが。八面六臂の活躍をするシューズクリエーターらしい、開けても絵になるデザイン。
アッパーに使用したのは、青々としたブルーデニム。履き込むほどに味が出る。

圧倒的な存在感を誇る「セルジオ・ロッシ」

洗練されたテイストとラグジュアリーなセクシーさが薫るデザインで、靴好きの女性や男性に圧倒的な人気を誇る「セルジオ・ロッシ」。この「HAREM(ハーレム)」と呼ばれるモデルも、セルジオ・ロッシらしいクリエイティビティが随所にちりばめられたハイカットスニーカーです。誰もが目を奪われるのが、このジッパーではないでしょうか。かかと外側から始まったジッパーが内側に回り込み、シューレースの外側を囲みます。ジッパーにはタブまで付いています。黒レザーのボディカラー、サイドに入ったスタッズなど、モーターサイクル用のハードな革ジャケットをイメージしているようにも見えます。トウに使われた中南米の大型猫、オセロット柄の革とメタリック素材のコンビネーションもデザイナーらしいセンスを感じます。ほかのどのスニーカーにもまったく似ていない、唯一無二のスニーカーといえます。
立ち上がるように縫製されたシューレースまわりのジッパー。こんな靴は、そうそうあるものではない。
思わずジッパーを閉めたくなるようなデザイン。クッション性のあるアンクルパッドはつま先と同じくメタリックブルー。

ハイカットスニーカー「ハーレム」¥108,000(8月中旬展開予定)/セルジオ・ロッシ

問い合わせ先/セルジオ・ロッシ カスタマーサービス TEL:0570-016600

www.sergiorossi.com



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