「ディオール オム」のニュープロジェクト

  • 写真:江森康之
  • 文:高橋一史

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10周年を迎えた表参道の旗艦店に、来日したクリエイティブ ディレクター、クリス・ヴァン・アッシュが登場。「M/M Paris」によるインスタレーションとともに、来春のコレクションをいち早く披露した。

10月12日(土)~31日(木)まで「ディオール表参道」4Fで開催されたインスタレーション(photo by Nacása & Partners )。
来日したクリエイティブ ディレクターのクリス・ヴァン・アッシュと、M/M Parisの2人(右 ミカエル・アムザラグ、左 マシアス・オウガスティニャック)。
ディオール オムが始めたのは、年4回に分けて異なるコレクションを展開するという挑戦です。モードの新作発表は一般的に、春夏と秋冬の年2回に分けて行われます。ディオール オムであれば、パリコレのランウェイで観客に披露する服がそれにあたります。しかし実際の店頭では、春と秋のシーズンに「プレ・コレクション」や「リゾート・コレクション」などと呼ばれる服が並べられており、売上も含めて年々その重要性が増していました。ディオール オムはほかのブランドに先駆けて、シーズンの狭間に展開するラインを、パリコレで発表する服と同等の価値に格上げさせたことになります。
クリスの来日のタイミングで行われたM/M Parisによるインスタレーションで、この新しい「スプリングコレクション」が世界で初めて公開されました。彼らによる“ランドアート”をイメージしたスプリングコレクションのビジュアルを再現したような、立体的なカラーブロックの幾何学構成でフロアが埋め尽くされました。

2014年春は、色彩にフォーカス。

コルシカ島のビーチで撮影された2014スプリング・コレクションのイメージビジュアル(photo by Karim Sadli )。
2014年スプリングコレクションでクリスが大きくフォーカスしたのは色彩。キーモチーフは、刷毛で塗ったような「ブラッシュストローク」。このプリント生地がジャケット、シャツ、Tシャツにまで用いられ、ドレスとカジュアルの境界線を曖昧にしつつ、ディオール オムに新鮮な風を吹き込んでいます。クリスが語りました。
「カラーこそ、もっとも重要な変化です。例えばサマーニットの場合、従来ならモノトーンでつくったところを、今回はよりハッピーで太陽を感じさせるものにしています。その色を服で表すために、ジャカード織りのテクニックで複雑な模様を生み出しました」
彼がインスピレーションを受けたのは、マイアミの現代アートフェア「アート・バーゼル」を訪れて目にしたビーチリゾートの光景。ビーチで開催されているフォーマルなエキシビションに集う人々の自由なタキシードの着こなしから構想を得て、今回のコレクションが誕生しました。
「フォーマルとカジュアルのバランスは今、世界中の人たちが探っているテーマ。ビーチにおけるフォーマルスタイルのあり方が、一つの答えになっています」
リニューアルしたメンズフロア(photo by Nacása & Partners )
10周年を迎えたディオール オム 表参道
ディオール オムからモード界全体へのメッセージとも受け取れるスプリングコレクションの発表タイミングと同時に、表参道の旗艦店のメンズフロアが、レディ トゥ ウェア、シューズ、アイウェア、レザーグッズ、時計、アクセサリー、フレグランスといったすべてのカテゴリーを集約させた発信スペースへと生まれ変わりました。店に足を運べば、春にはスプリング・コレクションの全貌を見ることができ、夏にはランウェイで発表されたサマーコレクションに触れることができます。今年の夏は春から続くビーチ・フォーマルのもうひとつのバリエーションが展開されますが、次の秋と冬ではまったく異なるデザインが繰り広げられるかもしれません。年4回のディオール オム コレクションに、どうぞご期待ください。

ディオール オム 表参道
東京都渋谷区神宮前5-9-11 B1階   不定休
TEL 03-5464-6263
営業時間:11時~20時
無休

問い合わせ先/クリスチャン ディオール TEL:0570-200-088