人気クリエイターが着こなした服、スタイリストはこう選んだ。

写真(ポートレイト):田邊剛

【 GENTLEMAN'S STYLE BOOK × Pen Online 01 】 9月1日発売の本誌ファッション特集で、クリエイターたちのスタイリングを担当した小野田史さん。それぞれの個性に合った服をどうセレクトしたのでしょうか?

各界で活躍する人気のクリエイターたちが好きな服は、どんな服? 9月1日発売の本誌ファッション特集では10人のクリエイターに登場してもらい、それを最新のファッションで再現する企画を実現しました。ここでは、スタイリングを担当してくれたスタイリストの小野田史さんに、彼らのパーソナリティをどうひも解き、コーディネートに結び付けたのか、小野田さんが撮った写真メモとともに、その舞台裏をうかがいました。

人気クリエイターが着こなした服、スタイリストはこう選んだ。
小山薫堂 Kundo Koyama
未開拓の色や柄モノも、華麗に乗りこなす。

放送作家や脚本家のみならず、旅館のオーナーや大学教授など、さまざまな肩書きをもつ小山薫堂さん。
「あらゆるものごとに精通している薫堂さんにとって、ファッションでもいまさら特に新しいものや未経験のものはないのでは、と感じたんですね。そこで今回は、あまりチャレンジされたことがないというビビッドな色や柄のアイテム、タートルネックセーターなど旬なアイテムを取り入れてみました」
マッキントッシュやニューバランスなど、薫堂さんの好みは飽きのこないベーシックで上質なアイテム。小野田さんは、オレンジのマッキントッシュと、同じくオレンジがさし色に使われているニューバランスのスニーカーをチョイス。さらにチェックのパンツとタートルネックのニットを合わせています。
「薫堂さんの会社『オレンジ・アンド・パートナーズ』にかけて、キーカラーはオレンジにしてみました。コートとスニーカー以外は、オレンジを際立たせるためにダークトーンでまとめています」
今年で50歳を迎え、ますます活躍の場を広げる薫堂さん。ビビッドな色や柄を調和させる存在感は、さすがというほかありません。
人気クリエイターが着こなした服、スタイリストはこう選んだ。
箭内道彦 Michihiko Yanai
ユルいままで成立させる、究極のリラックスフォーマル

数多くの広告やキャンペーンに関わるクリエイティブディレクターの箭内道彦さんは、根っからのジャージ・パジャマ好きとして知られています。スーツと同じくセットアップで着られ、かつ着心地がいいところがお気に入りの理由だとか。
小野田さんがそれを聞いてまず連想したのが、映画監督・アーティストのジュリアン・シュナーベル氏。
「 『潜水服は蝶の夢を見る』などの映画で知られる彼は、どんなオケージョンでもパジャマを着ているらしく、イタリアのメンズファッション誌(右上写真)でも、まさにパジャマを正装のように着こなしていました」
それをイメージソースに、スリーピー ジョーンズのパジャマにラルディーニのチェスターコートを羽織ったスタイリングを提案。足下には、ミッキーが大胆にあしらわれたルームシューズを合わせています。
「独自のスタイルがある箭内さんには、どこかアメリカンなロックの匂いも漂います。全体をフォーマルにまとめながらも、エキセントリックな要素を取り入れてみました」
“よそ行き”なパジャマスタイルを理想としていても、なかなか実現には至らなかったという箭内さん。今回、ついにそのスタイルに出合えたのではないでしょうか。
人気クリエイターが着こなした服、スタイリストはこう選んだ。
谷尻誠 Makoto Tanijiri
現場を行き来する、アクティブかつアカデミックなブルー

建築家の谷尻誠さんは仕事柄、クライアントがいる建設現場に出向くことが多いため、動きやすく、かつ清潔感のあるファッションを心がけているそう。
「行動的で明るく、かつ実にアカデミックな印象の谷尻さんとお話してイメージしたのは、ナスカの地上絵を研究していた女性の学者マリア・ライヒエさん。海外のウィメンズファッション誌(左下写真)が彼女をイメージしてつくったファッションストーリーのページが、谷尻誠さんのキャラクターや好みに合うのではと思いました」
ナスカの地上絵という現場で調査活動を続けていた彼女も、アクティブかつアカデミックな装い。近年流行のインナーダウンジャケットを腰に巻くあたりも、寒暖差の激しいナスカで働くためのスタイルを彷彿させます。
「また、谷尻誠さんが乗っていた愛用の自転車のブルーが好きなカラーだとお聞きしたので、コートとクラッチバッグをアイコニックなブルーで揃えてコーディネートしました」
常識にとらわれず柔軟な発想で精力的に新しい建築をつくり続ける谷尻さん。若々しくも芯のあるブルーが、とてもよく似合っています。
人気クリエイターが着こなした服、スタイリストはこう選んだ。

小林和人 Kazuto Kobayashi

ジェンツな装いに取り入れた、ヒップホップのカルチャー


吉祥寺の人気セレクトショップ「ラウンダバウト」と「アウトバウンド」を経営する小林和人さんがイメージソースとしてずばり挙げてくれたのは、『Back in the Days』という、オールドスクール草創期のヒップホップシーンを切り取った写真集(右下写真)。

「かつてブレイクダンスをやっていたこともあるそうで、ヒップホップカルチャーの造詣が深いんですね。マーク ニューソンレーベルのジースターのスタジャンは、ソリッドなデザインやボックス的なシルエットがそのイメージにぴったりハマりました。『Back in the Days』に登場する若者たちがみんなピカピカに磨かれた靴を履いていたのに倣って、小林さんと相談のうえアディダスのスニーカー『カントリー』でその雰囲気を出してみました」

そのほか、オールドスクールの象徴的なアイテムであるカンゴールのハンチングを合わせつつ、フランスのカットソーブランド「ルトロワ」のフレンチタートルや、A.P.C.のタイトフィットなコーデュロイパンツで現代的なアレンジを効かせています。

近年、キメ過ぎなモードを崩す要素としてファッションシーンで盛んに取り入れられるのは、ストリートテイストのアイテム。小林さんが理想としていたファッションは、私たちにとっても、大いに参考になるはずです。

9月1日発売の本誌ファッション特集では、ここでご紹介した4人に加え、渋谷慶一郎さん、ソリマチアキラさんら計10人のクリエイターが登場し、お気に入りのファッションを最新のコーディネートで着こなしています。ここで4人が着ているアイテムの詳細情報も、本誌でご確認ください。

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