秋のデザインイベント、見るべき10(前編)

  • 文:佐藤千紗

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この週末から、いよいよ始まるデザインウィーク。Pen編集部がセレクトした要チェックのイベントを、前後編の2回に分けて紹介します。

1. 『Any Tokyo』

デザインを従来のインテリアやプロダクトの枠だけで捉えるのではなく、新しい技術やジャンルを積極的に紹介する新イベントが『Any Tokoyo』です。テーマは「ニューベクトル」。世界中から暮らしにイノベーションを起こす「これからのデザインやアイデア」を集めています。出展者はダニエル・ウィドリッグ、イヴ・ベアール、柴田文江、トラフ建築設計事務所、ノザイナーなど。
注目は、ロンドンを拠点に活躍するダニエル・ウィドリッグ(上写真)。2011年にファッションデザイナーのイリス・ヴァン・ヘルペンとコラボレーションし、3Dプリンタでつくる彫刻的なドレスを発表し、話題を呼びました。新作「キネシス」(上写真、右)は背骨や背筋周辺の骨や筋肉などの部位をモチーフにデザインしたジュエリーピース。建築家ザハ・ハディッドに師事したそうで、師譲りの斬新な造形は必見です。

マックス・グナワン×アークトレーディングによる「ルミオエスエフ」は本をモチーフにしたポータブルランプ(上写真)。本を開くとLED照明が点灯する幻想的なデザインで、屋外やベッドルームなど、どこでも利用できます。クラウドファンディングで6000万円資金調達したことも注目を集めました。いま世界で起きている革新的な試みに触れられる、またとない機会となりそうです。


『Any Tokyo 2013』

会期:10月26日(土)~11月4日(月・祝)

時間:11時~20時 ※初日のみ13時~

会場:青山CIプラザ2階

住所:東京都港区北青山2-3-1青山CIプラザ2F

出展者:ダニエル・ウィドリッグ、平川紀道、 エマニュエル・ムホー 、h220430、村山誠、鳴川馨、柴田文江、トラフ建築設計事務所、ノザイナー、イヴ・べアール他

http://anytokyo.com/2013

photo: Michel Zoeter(Daniel Widrig)

2. ciguë the time of things

パリで活動する6人の建築家、職人集団シグー(ciguë)。大量消費、使い捨てのモノづくりに反旗を翻し、廃材や古いマテリアル、手仕事からインスパイアされたインテリア、プロダクトを生み出しています。彼らが手がけた清新な「イザベルマラン青山」の内装を覚えている人も多いでしょう。そんな彼らのユニークな活動と新コレクション「ショージエ(Chosier)」を紹介する展示『ザ・タイム・オブ・シングス(the time of things)』がシボネ青山で開かれます。

ショージエは、シボネのためにデザインされたキャビネットシステム。おじいさんのガレージにあるような古い釘や金具などをしまっておく棚や、子ども時代の宝箱のような、大切なものを収納するためのキャビネットです。

10月27日(日)にはトークセッションも行なわれます。シグーのメンバーと設計事務所ダイケイミルズ(DAIKEI MILLS)代表、原宿のオルタナティブスペースVACANT を運営する中村圭佑、そしてイソップ本社にてクリエイティブマネージャーも経験した、プロダクトデザイナーの白鳥浩子という旬なメンバーのトークは要注目です。



『ciguë the time of things』

会期:10月26日(土)~11月4日(月・祝)

時間:11時~21時 ※26日(土)は~18時、11月4日(月・祝)は~20時

会場:シボネ青山

住所:港区北青山2-14-6 青山ベルコモンズB1

TEL:03-3475-8017

www.cibone.com


TALK SESSION

ciguë×KEISUKE NAKAMURA×HIROKO SHIRATO

「Material Necessities」

日時:2013年10月27日(日) 14時~15時

会場:シボネ青山

※トークセッションの予約不可。

3. Night & Day, Atelier Bouroullec

ユニークな発想と天才的な造形感覚により、世界中で高い人気を誇るフランスのデザインデュオ、ロナン&エルワン・ブルレック。最新作のキャビネット「Theca」(下、上写真)を発表した彼らと、マジスとの10年間にわたるコラボレーションをマジス東京ショールームで見ることができます。

見どころは、今回のために実際にブルレック兄弟のパリのスタジオ(上、下写真)を訪れ、その雰囲気をイメージしたという空間構成。「自分たちのプロダクトも実際にスタジオで使っていて、アーティスティックというより、生々しいプロの仕事場という雰囲気でした」(ディレクションを手がけた土田貴宏氏)。会場構成はインテリアスタイリストの川合将人氏が手がけ、ドローイング、インタビュー、スタジオの写真などを通し、数々の家具が生まれたプロセスとデザイン哲学を実感できる展示となっています。


『Night & Day, Atelier Bouroullec』

会期:10月25日(金)~11月8日(金)

時間:10時30分~19時 ※11月8日(金)は~15時

会場:MAGIS東京ショールーム

住所:東京都港区北青山1-2-3青山ビル1F

TEL: 03-3405-6050

http://www.magisjapan.com/news/detail/103

4.UPCYCLING LIFE IN HANDSCAPES /暮らしのつくりかた

イデーショップ 東京ミッドタウン店では、工房付きショップ「イデー・ガレージ(IDEE GARAGE)」がポップアップストアとして東京に初登場します。「イデー・ガレージ」は2013年夏に神奈川県藤沢市で期間限定でオープンした、その場で制作し販売するショップ。今回はDIYユニット、ゲルチョップら気鋭のクリエイター8組が参加して制作したアップサイクリングプロダクトの展示販売を行ないます。

また、イデーの書籍『LIFECYCLING』で取り上げた、LAで注目のアーティスト、クリス・ジョハンソンとジョハンナ・ジャクソンによるアップサイクリングプロダクトも展示予定。 その他、「IDEE GARAGE」で好評だったスツールとドアストッパーをつくるワークショップも開催します。自分自身の手で暮らしを作り上げる楽しさや可能性を体感してみてください。


『UPCYCLING LIFE IN HANDSCAPES / 暮らしのつくりかた』

会期:10月25日(金)~11月4日(月)

時間:11時~21時

会場:イデーショップ 東京ミットドタウン店

住所:東京都港区赤坂9-7-4 D-0316 東京ミッドタウン Galleria 3F

TEL:03-5413-3455

www.idee.co.jp/shop/tmd



ワークショップ1:スツールを作ろう

講師:白鳥浩子

開催日:10月26日(土) 13:00~/14:30~/16:00~

定員:各回5名<予約制>

参加費:¥5,000(材料費込み)


ワークショップ2:ドアストッパーを作ろう

講師:加藤匡毅(PUDDLE Inc.)

開催日:11月2日(土) 13:00~/14:00~/15:00~

定員:各回5名<予約制>

参加費:¥2,700(材料費込み)

参加予約:TEL 03-5413-3455 イデーショップ東京ミッドタウン店

5. 51%Tokyo 「暮らしと灯り」

神田神保町の建築設計事務所51% Tokyoでは、「灯り」をテーマにした企画展を開催します。

鉄の作家・田中潤による鉄の灯明器は、菜種油を使った古来からの穏やかな炎のあかり。一方、井上隆夫によるタンポポの綿毛をアクリルに封じ込めた有機EL照明は、最先端技術を使いながらやわらかなあかり。ほのかな灯りの提案は、「デンマークの家庭を訪ずれた際に、間接照明とキャンドルだけのほの暗い灯りに触れたことがきっかけ」と企画した三浦哲生さんは言います。「メイン照明ではない、ほのかな灯りが醸し出すゆったりとした贅沢な時間を味わってほしい」。

他に田中さんの鉄のオブジェや飾り棚も展示。また、神保町の古書店「ボヘミアンズ・ギルド」から「暮らし」にまつわる古書をセレクトし、販売も行なうそう。秋の夜長を楽しむアイテムが見つかりそうです。



『暮らしと灯り』

会期:10月26日(土)~11月10日(日) ※作家在廊日26日

会場:51% Tokyo

住所:東京都千代田区神田神保町1-37 1F

TEL:03-5577-6293

www.5wari1bu.jp


※以下、後編につづきます。