Makoto Sasaki

Makoto Sasaki / video director/ movie director
佐々木 誠/映像ディレクター/映画監督

98年より音楽プロモーション映像やテレビ番組などを演出。ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー風のフィクション映画も監督している。今まで撮影で訪れた場所で好きなのはケニアとインド、そしてハワイ。
http://sasaki-makoto.com

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『フィーバー・ルーム』の後はこれ。

『フィーバー・ルーム』の後はこれ。

先日、KAAT 神奈川芸術劇場で行われたアピチャッポン・ウィーラセタクン『フィーバー・ルーム』行って来ました。


すでにあちこちで話題になっているので ご存知の方も多いと思いますが、あまりの人気で最後の3日間は急遽発売された当日券目当てに数時間待ちの長蛇の列ができました。

いや、私も一ヶ月前から行く予定でしたが、仕事の都合上スジュールが読めずギリギリにチケット取ろうと思っていたらまさかの全日程売り切れ!

悔しくて眠れないくらい落ち込みましたが、当日券発表を聞いてなりふり構わず仕事調整、なんとか3時間前から並びゲットして観れました。


その作品は、映画なのか?舞台なのか?インスタレーションなのか?

公式な解説には、

カンヌ国際映画祭パルムドールほか数々の受賞歴を持つ映画作家/美術家 アピチャッポン・ウィーラセタクンが初めて取り組んだ舞台作品。記憶とイメージのうつろいやすさに関する省察へと観客を誘う上映=パフォーマンス。監督最新作『光りの墓』にも出演している常連俳優2人を起用し、映画と演劇の枠組みを超えた、夢の中へと亡命するかのような新しい劇場体験を提供する。

と書かれています。


ちなみにアピチャッポン・ウィーラセタクンは、

アーティスト/映画作家。「記憶」を扱う彼の作品は、個人レベルのポリティクスと社会問題を繊細に反映している。タイの映画産業には属さず、タイ内外で実験的でハイブリッドな物語映画を活発に製作。アート・プロジェクトと劇場映画で広く評価を高め、数々のフェスティバルで受賞。カンヌ国際映画祭パルムドールの他、最近ではオランダのプリンス・クラウス・アワードを受賞している。タイのチェンマイを拠点とする。

という人です。


昨年、特集上映が各地で組まれたり、先月まで東京都写真美術館で「亡霊たち」という展示も行われていました(こちらも素晴らしかったです)。


私は6年前に日本で公開された『ブンミおじさんの森』がその年の個人的ベスト1映画でして、それ以来ずっと気になる存在でした。


というわけで、大半の観客同様、期待に胸膨らませ観に行った『フィーバー・ルーム』。


映画であり、舞台であり、インスタレーションでもありました(が、それのどれにも当てはまらないという人もいるかもしれません)。

大きく分けると、前半、中盤、後半の3つで構成されています。


まず通された客席はわずかな灯りしかない暗闇で、スタッフの方が照らす懐中電灯の小さな光を頼りに簡易的に作られた席に着きます。

始まりのアナウンスがあり、ほぼ完全な闇に包まれます。しばらくののち、徐々に現れた前方上下に2枚、左右に1枚づつ計4枚のスクリーンに映し出された(彼の映画『光りの墓』との関連性を感じる)自然、町に生きる人々の日常を詩的に描く映像が始まりました。

この「前半」4スクリーンを使ったマルチ映像作品は、最後に”雨の夜の街角”を映したままスクリーンが全て上部に移動して終わります。

そのまま前方の幕が開いて始まった「中盤」(後述しますが、まずそこで明かされる「場所の正体」に驚きました)。

幕が開ききるの待たずにその空間から放たれた光は闇を貫き、とんでもない光景が広がりました。


なんというか・・・これはもう"体験"でした。

しかもこの体験、言葉ではなかなか語れません

(このブログのトップに載せたイメージ画像がまさにその時「観たもの」ではあるのですが、やはり静止画だと何かが違います)。


強いていうなら、

スピルバーグの『レイダース 失われたアーク』のクライマックスとキューブリックの『2001年 宇宙の旅』のクライマックスを同時に超リアルに体感できる、

かな・・・。

〈超越した存在〉を体感する、と言うべきか。

その〈超越した存在〉は、「神」なのか、「太古の記憶」なのか、「亡霊」なのか、そして「夢」なのか。

というような。

うむむ、やはり言葉では語れません。

観た知人の中で「これに対抗できるのはもはや自然、富士山のご来光くらいしかない」とまで言う人もいました。


その「中盤」が静かに終わり、「後半」の洞窟を舞台とした短い映像作品がゆっくり始まります。

この映像作品は右側のスクリーンのみに映され、最後に老婆と刺青男の「夢を見なくなった」「あなたから光を奪ったから」という”会話”で終わります。


私は観た次の日に再び3時間並んで(合計6時間!)もう一度観に行きました。


単純にその"体験"を人工的にどうやって作り出しているのか?という興味と"体験"だけではなくその前後の映像作品を含めた「作品全体」の構造を分析したかったからです。

"体験"の仕掛けはよくわかりませんでしたが(笑)、全体を通してアピチャッポンがある「記号」を頻繁にヒントとして発していたのに気づきました。


その「記号」は街灯でした。

つまり光を人工的に発し、「夜」を「昼」のように変化させ、文明があるところに必ず存在するものです。


「中盤」の冒頭、幕が開き"体験"が始まる舞台に現れたのは神奈川芸術劇場の「客席」でした。

映画は、光を投影することによって映し出される「体験」、その体験を「映し出される側に立たせる」ことによって何が生まれるのか?

ということで、この作品の観客は通常であれば舞台がある場所(つまりスクリーンが映し出される側)に座らされていた、と私は解釈しました。


ある種の「夢」である「映画」を観客に反転して体験させる新しい映像表現だったと思います。


暗闇で始まり、動画の起源と言われる壁画が生まれた「洞窟」で終わる『フィーバー・ルーム』。

アピチャッポン・ウィーラセタクン、おそるべし!



というわけで、『フィーバー・ルーム』見逃した方、また観た方にもオススメのイベントです。

『フィーバー・ルーム』の後はこれ。

昨年私が開催して、超満員・大好評だった


「過激で優美な帯谷有理の世界」


待望の第2弾行います。


これこそ、見逃したらヤバいやつです。


ついに今回、満を持して帯谷有理監督の代表作であり、伝説的映画『毛髪歌劇』(93)上映します。

「音」と「映像」の関係性を追求したシビれる実験映像であり、美形の変質者の日常を主観で捉えた笑える映画でもある、冷静に狂っている超傑作です。


さらに私が19歳の頃、初めて「帯谷有理」を認識して驚愕、恐怖を覚えた齋藤ユキヱ監督×帯谷有理撮影『行き暮れども待ち明かず』(95)、
今現在ちょっとブームのある広告映像を20年以上前に先取りしていた実験作『フランス映画』(94)もやります(おそらくその広告の制作者がパ、いやオマージュしていると思います)。


映画好き、アート好きでまだ帯谷有理を体感していない方!
現代アート映像・実験映画史を語る上でも最重要な作品群ですので、是非観ていただきたい。


100%ぶっ飛びます。


なぜ、いま私がこの伝説の旧作を上映するイベントを主催しているか?

ここ数年、アピチャッポンの作品など実験的な映像作品があれだけ一般的に話題になっているということは、「帯谷有理の世界」を知らないだけで観て楽しみたい若い人もたくさん存在するんだろう、と(勝手に)解釈したわけです。

私自身、帯谷さんの映画を若い頃知らなかったら人生損してたな、と思うので多くの人に観ていただきたいな、と。

そしてもちろん自分自身も時を経てまたどうしても今観たくて帯谷さんを口説いた、というのもあります。


ご興味ある方、是非ご来場ください!


『フィーバー・ルーム』同様、二度と観れない凄い映像体験ができることは保証いたします。



「過激で優美な帯谷有理の世界 vol.2」


<上映作品>

『毛髪歌劇』 

8ミリ/60分/カラー/スタンダート/モノラル1993 
監督、脚本、撮影、録音、編集:帯谷有理  撮影補、協力:芹沢洋一郎 出演:帯谷有理、神先智子 プレミア上映:イメージフォーラム・フェスティバル'93(東京、大阪他) バンクーバー国際映画祭'93、ニューヨーク国際映画祭'94、他正式招待作品 解説:次々と寝た男の陰毛を記念に集めた「陰毛日記」なる個展を開く女性アーティストに心奪われた変質者の奮闘記。

『フィーバー・ルーム』の後はこれ。



『行き暮れども待ち明かず』 
8mm/24分/モノクロ/ステレオ/1995 
監督/制作:齋藤ユキヱ 撮影/録音:帯谷有理 出演: サユリ:齋藤ユキヱ、タク:帯谷有理 バンクーバー国際映画祭1996 他正式招待作品 解説:虐め虐められる男女の生活の風景が、断片的に現れる。男の持つ「場面内主観カメラ」を媒介にして、終わることの無い生活の時間を客観視しようとするが、実はここで展開される行為は、肉体を発生させるための演出で、時には、彼らの行動を目撃しているのは風景自体である様に見える。(IFF'95解説)

『フィーバー・ルーム』の後はこれ。



『フランス映画』 
16mm /11分 /カラー/モノラル/1994 
脚本/監督/録音/編集: 帯谷有理 撮影:帯谷有理、齋藤ユキヱ、浜口文幸 出演:吉村貴世、帯谷有理 ロッテルダム映画祭'95、バンクーバー国際映画祭'95他正式招待作品 解説:フランス映画、フランス映画と言っても、『鬼火』や『巴里祭』や『男と女』を観るのではなく、「フランス映画一般」が観たいのだ!...どうすればいいのか?

『フィーバー・ルーム』の後はこれ。



※帯谷有理ライブ(約30分)、トークあり!

トーク登壇:帯谷有理監督、佐々木誠


日時:2017年 3月4日(土) 13:00開場/13:30開演/16:30終了予定

会場:東京・世田谷「M's Cantina (エムズ・カンティーナ)」
   世田谷区 上馬4-4-8 新町駒沢ビル 2F
   (東急田園都市線・駒沢大学駅徒歩1分)

料金:2,000円(自由席•1ドリンク付)

https://www.facebook.com/events/411583475849282/


ご予約&お問合せ:「M's Cantina (エムズ・カンティーナ)」03-6805-5077

ご予約フォーム(PC&スマホ):https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/



【帯谷有理監督プロフィール】
映像作家、音楽家。1963年生れ、兵庫県出身。 1980年代半ばより室内楽の作曲やサウンド・アート作品の制作などを経て、 1993年に制作した自主映画『毛髪歌劇』がバンクーバー国際映画祭に招待され国際デビュー。 以降、国内外の数多くの映画祭や特集上映が作品を招待。2016年には前衛アートの祭典である台湾のEX!T展にて新旧作の特集上映が組まれた。主な映画:《フランス映画》(1994)、《厭世フフ》(1998)、《路地の子》シリーズ(1995-)、《サイケデリック・オルガン・パンダ》(2003)、《野巫女》(2008) など。


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