Makoto Sasaki

Makoto Sasaki / video director/ movie director
佐々木 誠/映像ディレクター/映画監督

98年より音楽プロモーション映像やテレビ番組などを演出。ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー風のフィクション映画も監督している。今まで撮影で訪れた場所で好きなのはケニアとインド、そしてハワイ。
http://sasaki-makoto.com

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桜の樹の下

桜の樹の下

私は幼少期の数年間、団地に住んでいた。
70年代の終わりから80年代のはじめ、ニュータウン全盛を少し過ぎた頃だ。
すべての記憶は団地から始まっている。

あの独特な密集感の中で時々小さな事件が起こり(自分の家の新聞受けを毎日じーっと10時間覗き込むおっさんの飼い猫を隣のおばさんがさらった時の攻防戦など)、それは子供心に不安と興奮が入れ交じり、怖いけど期待する、という矛盾した感覚があった。

それが、私の原体験だ。


その甘酸っぱくないリアルな郷愁を求めているのか、団地を舞台にした映画や書籍がたまらなく好きだ。

ポン・ジュノ『ほえる犬は噛まない』、大友克洋『童夢』、小田扉『団地ともお』、久保寺健彦『みなさん、さようなら』など傑作が多いが、現在公開中の『桜の樹の下』も団地を舞台にした素晴らしいドキュメンタリー映画だった。


桜の樹の下
の舞台は川崎市にある市営団地。

そこに描かれている「団地」は、私が幼少期住んでいた時のようなある種の賑わいはなく、住居者の多くは、地方出身で低所得の高齢者だ。

監督は新人の田中圭。
田中監督は、その市営団地に住む4人の高齢者の「生活」を絶妙な距離感を持って切り取っていく。
そこに悲壮感はない。
描かれているのは、被写体の生き様から浮き彫りになる、それぞれの過去、現在、そして未来だ。

移り変わる四季の美しさ、それを背景に起こる悲喜交交。
時々垣間見える監督自身と被写体との関係。
本作は、社会問題を提起しているようなドキュメンタリーではない。
どんな環境であろうと、どんな状況であろうと、人と人は出会い、友情が生まれ、生を謳歌していく。
その「日常」の断片を丁寧に、しかし力強く描いた映画だ。

是非劇場で観ていただきたい。


ポレポレ東中野にて現在公開中他、全国順次公開予定。

詳細はこちらから。



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