Makoto Sasaki

Makoto Sasaki / video director/ movie director
佐々木 誠/映像ディレクター/映画監督

98年より音楽プロモーション映像やテレビ番組などを演出。ドキュメンタリー映画とドキュメンタリー風のフィクション映画も監督している。今まで撮影で訪れた場所で好きなのはケニアとインド、そしてハワイ。
http://sasaki-makoto.com

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連載終了!

連載終了!

私が小学生の時(80年代)の「週刊少年ジャンプ」といえば、『ドラゴンボール』『キン肉マン』『シティハンター』『北斗の拳』『聖闘士星矢』『ブラック・エンジェルズ』『キャプテン翼』『魁!!男塾』『ハイスクール奇面組』『銀牙 流れ星 銀』『ついでにとんちんかん』などエース級の作品が同時に連載され、最高発行部数が653万部という、まさに「黄金期」だった。


その中で、突然、美少女の皮膚がどろどろに溶けて中からサイボーグ化した身体が現れ、自分を陥れた男に硫酸をかけて復讐を果たすというぶっとんだ漫画の第一話が掲載され、クラスでちょっとした「事件」になった。

それが、後に私と同世代のほとんどの人間にトラウマを残した巻来功士先生のメタルKだった。

「ジャンプ」が掲げている〈友情・努力・勝利〉からかけ離れすぎている〈エロ・グロ・寝取られ〉、バイオレンスの上を行くその強烈な作風に、当時の小学生たちは度肝を抜かれた。

賛否を呼んだ『メタルK』は人気が出始めた頃に終了してしまったが、その後はじまった巻来先生の代表作ゴッドサイダーも凄かった。「神VS悪魔」をまたも〈エロ・グロ・寝取られ〉の要素満載で描くアウトローすぎるファンタジー大作で、やはり当時の「ジャンプ」では異色の存在だった。あまりに斬新すぎてクラスで『ゴッドサイダー』を熱狂的に話題にしていたのは私と友人のYだけだったのだが、そのYは現在アニメのプロデューサーとなりヒット作を多く手がけている。私も映像の仕事をしており、仕事仲間に巻来先生の作品のファンは多い。同世代のクリエイターの多くは巻来作品に良い意味での「トラウマ」をあたえられていると思う。


こんなヤバイ漫画を描くのであればご本人もヤバイに違いない、と思っていたが、20年以上経ってご縁があり、お会いした巻来先生は、非常にスマートな紳士だった。

熱狂的な映画ファンでもあるのだが、そもそもご自身のルーツは「アメリカン・ニューシネマ」だという。

これも意外だった。作品から勝手にホラーとかスプラッターだと思ってた。

しかし、確かにそう思って巻来作品を再読すると、根底に描かれているのは「権力への怒り」だった。


その巻来先生が、「ジャンプ」で連載していた当時のことを中心とした自伝的作品連載終了!を発表したのだが、これが、あの「ジャンプ黄金期」の裏側を描き、胸熱くなること必至の素晴らしい実録漫画だった!

なぜあの『メタルK』が生まれ、そして当時の「ジャンプ」で連載にいたったか!?
『北斗の拳』の原哲夫先生、『シティハンター』の北条司先生、そしてライバルだった『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生たちとの交流の数々。
また編集者と漫画家という組み合わせで作品は生まれるのだが、その人間関係にも運命の分かれ道もあるという残酷な現実も描かれている。
こりゃ、当時読んでた人間にはホントたまらない。

そして、ひとりの純粋な青年が「ジャンプ」という巨大な怪物に立ち向かい、翻弄され、叩き潰され、そして立ち上がり自分の道を見つけていく、という笑って泣ける青春マンガでもある。

さらに巻末に「ジャンプ」編集長だった堀江信彦氏と巻来先生の対談が収録されているのだが、これがまた面白かった。編集者と漫画家の共犯関係について語られているが、それは全てのクリエイティブな作業に共通していることだと思った。

「縦軸を考えられる能力」と「横軸を考えられる能力」についての堀江氏の考察が興味深く、今後モノを作っていくヒントになった。


連載終了!』、漫画を描く人だけではなく、全てのクリエイターに読んでいただきたい。


是非!

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